エネルギー

エネルギー変換

üエネルギーとは仕事をする能力のこと

ü仕事をすることによって逆に熱エネルギーを作り出すこともできる.

例)気体を加熱すると体積や圧力が増加するが,このことを利用してピストンや羽根車を動かす機械である熱機関では,熱エネルギーから力学的エネルギーへの変換が行われている.

ジェームズ・プレスコット・ジュール

仕事と熱とが相互に変換可能であることを実証した。

電気エネルギー

水力・風力・潮汐力・波力は力学的エネルギーで、直接羽根車を回転させることができる。

石炭・石油・天然ガス・核燃料・太陽・生物・地熱 は熱エネルギーを力学的エネルギーに変換することで羽根車を回転させることができる。

ü熱エネルギーを100%の効率で他のエネルギーに変換することは原理的に不可能

直接変換 一次エネルギーを電気エネルギーに直接に変換する技術の開発も進められている.

電磁流体発電 (MHD発電 ) ,熱電気発電,熱電子発電,燃料電池

力学的エネルギーの変換

圧力エネルギー, 運動エネルギー, 位置エネルギー を力学的エネルギーに変換すると外部に仕事をすることができる。

力学的エネルギーの変換技術の概要

  • エネルギーを取り出し
  • 変換装置にそれを輸送
  • 不要になったエネルギーは変換装置の外部に捨てる

このことを実現する最もよく使われる方法は 流体の流動を使う

これらの装置は一般に流体機械と呼ばれている.

流動系のエネルギーバランス

流体は定常的に流れ、系からの漏れはない.

エネルギー保存則より次式が成立する.

Lが正のときは水車 負のときはポンプ

ノズルやディフューザーにおいては、前者は流体のエンタルピーを運動エネルギーに、後者では運動エネルギーをエンタルピーに変換する.

外部との仕事や熱のやり取りがなく、位置エネルギーの差も無視できる場合

熱エネルギーの変換

熱エネルギーから力学的エネルギーへの変換は,最も重要なエネルギー変換である

受熱と放熱 の差に相当する熱エネルギーが仕事に変換される。

熱機関のサイクル ガスサイクル…..オットーサイクル,ディーゼルサイクル,ブレイトンサイクル,スターリングサイクル

熱機関のサイクル 蒸気サイクル….. ランキンサイクル

オットーサイクル

自動車用などの往復動内燃機関の理論サイクル

断熱圧縮 定容加熱 断熱膨張 定容冷却 排気と吸気

オットーサイクルの効率

ここで、εは圧縮比V1/V2, κは比熱比である.この式からわかるように、熱効率は圧縮比εとともに単調に増加する.つまり、オットーサイクルの理論熱効率はエンジンの圧縮比が大きいほど高くなる.

実際のガソリンエンジンは圧縮比εがあまりに大きい(ε>10) と燃料と空気との混合気がシリンダー内部で早期着火し、いわゆるノッキング現象を起こす.

ディーゼルサイクル

ディーゼルエンジンとガソリンエンジンの大きな違い

燃料混合気への着火

ガソリンエンジンでは,あらかじめ燃料と空気とを混合しておいたものを圧縮して電気火花で点火

ディーゼルエンジンでは空気だけを高い圧縮比(ε=15~23)まで断熱圧縮して高温の状態にし、そこに軽油あるいは重油を微細な霧状にして吹き込み着火させる.

ただし、ζ (=V3/V1)は噴射締切比と呼ばれる体積比である.ディーゼルエンジンは圧縮比εを高くとることができるので、ガソリンエンジンに比較して熱効率は高いが、排気ガスの黒煙やNOxの問題も残されている.

ブレイトンサイクル

ガスタービンの理論サイクル

圧縮機Cで断熱的に圧縮され

燃焼器B内で等圧加熱され

タービンで断熱膨張され

排気は等圧的に冷却される

スターリングサイクル

カルノーサイクルに少しでも近づけようとして考案されたサイクル

等圧圧縮 定積加熱 等温膨張 定積冷却

ランキンサイクル

蒸気サイクルとこれまでに述べたガスサイクルとの大きな違いは、蒸気サイクルでは作動流体の圧縮過程を液相で行うという点

液体は気体に比べて圧縮性が小さいため、圧力を上げるのに要する仕事が小さくて済むという利点がある

給水ポンプPにより水を加圧する

ボイラーで加熱された水は、まず飽和水の状態に達し、つづいて一定圧力の下で蒸発する

蒸発の終わった後も加熱を続けると,蒸気は過熱蒸気の状態になる

この高温高圧蒸気をタービン内で断熱膨張させる

ランキンサイクルの効率を上げるためには、タービン入口での蒸気温度T4および圧力(P2=P4)をできるだけ高くし、復水器の圧力(P5=P1) を低くすればよいことがわかる.

コ-ジェネレーションと熱併給

化学工業などを中心に産業用の蒸気が要求されるが、この温度は大部分は300℃以下である。

このような蒸気発生用ボイラーのために要するエネルギーは全産業の消費するエネルギーの20%程度を占める.

高温部の熱エネルギーは電力に,残った低温部の熱エネルギーを蒸気発生に使うコージェネレーションを行うことが望ましい