歯車の基本
2軸間に動力を伝えるには,歯車や摩擦車による直接伝動と,ベルトやチェーンなどによる間接伝動とがあります。
歯車(toothed wheel, gear)は2軸間の距離が比較的短い場合の伝動に用い,次のような特徴があります。
1) 回転を確実に伝達できる。
2)歯数の組み合わせを変えることによって,速度伝達比をある範囲で自由に選べます。
3)2軸が平行でなくても,確実に回転を伝えることができます。
歯車の種類
歯車には,いろいろな種類があります。機械の動力伝達
用として,一般に使われている歯車の種類として、平歯車、はすば歯車、やまば歯車、内歯車、ラックと小歯車(2軸の相対位置が平行)、すぐばかさ歯車、まがりばかさ歯車(2軸相対位置が交差)、ハイポイドギヤ、ウォームギヤ、ねじ歯車(2軸の相対位置が平行でもなく交差もしない)等があります。
歯車の歯形曲線にはインボリュートとサイクロイドとがあるが,動力伝達用歯車には次の理由から,インボリュート歯形が,一般に用いられています。
l) 正確な歯形を工作しやすい。
2)歯車の中心距離が少々変わっても,なめらかなかみあいが保たれる。
モジュールとは
歯車の歯は,基準円周に沿って等しい間隔で切削きれていて,この間隔をピッチ(pitch)といいます。歯車は同じピッチのものでなければ,たがいにかみあうことができません。
基準円直径d[mm]、歯数をzとすれば、ピッチp[mm]は次の式で求められます。
基準円直径を歯数で割った値をモジュール(module)といい, m[mm]で表します。
歯車の製図
歯車は、一般には軸に直角な方向から見た図を主投影図とします。主投影図・側面図とも歯先の線は、太い実線でかき、基準円は、細い一点鎖線で書きます。
歯底円は細い実線で書きますが,側面図では省略することもできます。主投影図を断面図示するときは、歯は切断せずに、歯底の線を太い実線で書きます。
はすば歯車などで歯すじ方向を示すには,主投影図に通常3本の細い実線を用いる。主投影図が断面図示されているときの歯すじ方向は,外はすば歯車では,紙面より手前の歯の歯すじ方向を3本の細い二点鎖線で示し,内はすば歯車では3本の細い実線で示す。