吸込空気をあらかじめ圧縮して密度を上げ,単位時間内に供給する空気質量を増せば,直接大気を吸い込む無過給機関に比べて多くの燃料を燃焼させることができるので,平均有効圧が上がり,出力は増加する。この方法を過給という。
過給のメリット
(1)機関の小形軽量化ができる
- 同一出力の無過給機関に比べて過給機関は、軽量小形となり機関室が小さくでき、船の積載量が増加できる。同重量の機関では過給により出力が増加する。
(2)馬力あたりの製作費が安い
- 機関が小形軽量化できるため、製作費も安くなる。
(3)機械効率の向上ができる
機関の摩擦損失馬力は、機関の大きさ、回転数による影響が強く、また回転数が一定の場合、平均有効圧力の大小によってはまったく変らない。従って排気タービン過給機付の場合は、平均有効圧力が上昇し、有効仕事量も増加するが摩擦損失は余り変化しないので機械効率が向上する。
(4)馬力あたりの燃料消費量が少ない
機械効率の向上に伴い、燃料消費率を無過給機関に比較して2~10%向上することができる。
過給のデメリット
(1)燃焼室周辺の温度が無過給機関に比べて少し高温になる。
吸気温度10℃の上昇に対し、排気温度はシリンダ出口で18~23℃位上るが、この傾向は高速エンジン程大きく、吸気温度上昇分の約2~3倍位高くなる。
(2)最高爆発圧力が上昇するので、機関の振動が大きくなる。またシリンダヘッド締付けトルクも高くする必要がある。
(3)過給機が故障したときは、機関出力が減少する。
無過給機関に比べて圧縮比が低く、又オーバラップが大きいので、過給機が故障して給気圧が上がらなくなると、上死点で排気ガスがシリンダ内へ逆流し、そのために同一形式の無過給エンジンより出力が低下する。